refind jewelryの哲学

時代と倫理を纏う、新しいヒップホップジュエリー

1. なぜラボグロウンジェムとシルバーのヒップホップジュエリーを販売するのか

refindjewelryが扱うのは、シルバーとモアサナイトをはじめとしたラボグロウンジェムを使ったヒップホップジュエリーだ。

これは単なる価格の問題ではない。

歴史、文化、倫理、現代社会、そしてブランド自身の思想に基づいた選択である。

天然のゴールドやダイヤモンドは長く「富と成功の象徴」として世界中で扱われてきた。

だがその裏側には、紛争・搾取・児童労働・市場操作という暗い影が存在している。

過去の象徴を否定するのではなく、現代の情報と技術を踏まえて「自分で選ぶ」。

それは「自分をどう表現するか」という、生き方そのものの象徴だ。

ストリートには、誰かが決めた“正しさ”や“格式”なんて関係ない。

大切なのは「自分の意志で選ぶこと」。

refind〈リファインド〉という名前には、そういった過去の象徴を否定するのではなく、現代の情報と技術を踏まえてヒップホップジュエリーを“再定義する”という意味を込めた。

refindは過去の価値観を見直し、俺たちなりのスタイルで輝きを再定義する。


2. ヒップホップがジュエリーを必要とした理由

まずはヒップホップジュエリーを語る前にヒップホップの歴史について振り返る。

ヒップホップは1970年代のニューヨーク・ブロンクスで貧困、差別、暴力、社会の底辺に追いやられた黒人とラテン系コミュニティの若者たちによって作り上げられた。

この時代のヒップホップは時代を背景とした、裕福な白人社会へのコンプレックスや、社会的優位への願望偏見や差別から這い上がる「成り上がり」を根幹のテーマにしていた。

そこではゴールドチェーンや大粒のダイヤモンドは、単なる装飾ではなく、成功への到達を「誰でも見てわかる形」にする、「富」や「地位」を象徴する存在証明だった。

そしてヒップホップが徐々に市民権を得てきた1980年代、Public Enemy などのパイオニアたちは、太いゴールドチェーンを首にかけ大粒のダイヤモンドのリングを身につけステージに立ち、成り上がりの象徴としてのゴールドとダイヤモンドで作られたジュエリーは、ヒップホップ文化として定着していった。

90年代、ヒップホップは「ブリンブリン」と呼ばれる豪華なスタイルにさらに拍車がかかっていった。
分厚いゴールドチェーンやダイヤモンドは「成り上がりの証」「夢の実現」として、ラップ歌詞で頻繁に語られ、MVにも登場しヒップホップとゴールドとダイヤモンドのジュエリーの関係は密接になっていった。

この時代からゴールドとダイヤモンドを使用したジュエリーは単なる装飾ではなく、ヒップホップの持つ、裕福な社会へのコンプレックス、社会的優位への願望、偏見や差別からの克服、ストリートからの成り上がりの思想を象徴する精神の証明としての地位を確立させた。

3. 日本における象徴性の継承

また日本でも1980年代から1990年代にかけてバブル経済の余韻の中で、喜平チェーンを初めとしたゴールドジュエリーやダイヤモンドは「成り上がりの証」としてストリートにも広がっていった。

また2000年代に入ると日本でもヒップホップ文化が浸透していった。
ZEEBRAなどの日本ヒップホップ界のパイオニアたちもゴールドチェーンやダイヤモンドリングを成り上がりの象徴として歌詞やMVに登場させることで日本のヒップホップでもゴールドとダイヤモンドはその思想を象徴するアイテムとなっていった。

その当時の90年代後半から2000年代のゴールド価格は1,000円台と100gの喜平チェーンでも10〜30万円と努力すれば届く金額であった。

つまりジュエリーは、一般人が自力で現実的に掴む手の届く夢、憧れ、象徴、誇りだった。

今、refindが扱うシルバー×モアサナイトの価格帯もまさにその延長線上にあり、この構造は、現代のシルバー×モアサナイトにも受け継がれている。

成り上がりの象徴は、常に“リアルに努力すれば手が届く誇り”の上に成り立っている。


4. 天然ダイヤモンドの価値は、自然に生まれたものではない

実は天然ダイヤモンドの価値は自然の希少性だけで形成されたわけではない。

20世紀初頭、南アフリカでダイヤモンド鉱山と採掘を独占したデビアス社は、市場に流通するダイヤモンドの量を制限し、価格を操作し、価値そのものを作り上げた。

さらに 「A diamond is forever(ダイヤモンドは永遠の輝き)」というキャッチコピーを使ったマーケティングで世界を支配し、「ダイヤモンドは永遠の愛」「結婚指輪にはダイヤ」という文化を意図的に作り出した。

その結果、天然ダイヤモンドの価値はその宝石自体の自然の希少性だけで定義されたのではなく、巨大資本による市場のコントロールと広告戦略によってデザインされた価値を作り出した。


5. 天然ダイヤモンドに隠された闇

だが、天然ダイヤモンドの作られた価値の裏で何が起きていたのか。
天然ダイヤモンドは長く暴力と搾取の資源でもあった。

1980〜90年代、アフリカのシエラレオネやリベリア、アンゴラなどでは、ダイヤモンドが武器の資金源となり、内戦が悪化した。子どもが兵士として戦場に送られ、村が焼かれ、人が殺された、

それでもダイヤモンドは「美しい宝石」として先進国に流れ続けた。

2002年に国連主導で「キンバリープロセス」という認証制度が導入されたが、それは、反政府軍が資金に使った原石のみを対象とする限定的な制度だった。

つまり、政府軍が暴力で鉱山を支配しても、あるいは児童労働や搾取が行われても、それは問題ないと現在でも片付けられている。

その実例がジンバブエ・マランゲ鉱山であり、軍や警察が住民を殴打・拷問しながら採掘を強制しているにもかかわらず、その天然ダイヤモンドはクリーンなダイヤモンドとして市場に流通し続けている。

さらに、カット・研磨済みのダイヤであれば紛争の武器等を購入する資金源になっていても紛争ダイヤモンドではないクリーンなダイヤモンドとされている。

世界三大カッティングセンターの一つと言われ、誰もが知っているジュエリーブランドの多くが使用しているダイヤを研磨カットしているイスラエルでは、外国への全輸出額のうち23.5%は研磨済ダイヤモンド、4.9%は未研磨のダイヤモンドが占めている。

そして、イスラエルとパレスチナは長年断続的に戦っており、戦いに使われるイスラエルの軍事費を支える税金は、イスラエルの主要産業のダイヤモンド業界からかなりの額がもたらされていると推測できる。

一説には、年間約1,000億円がイスラエルのダイヤモンド業界から軍事費に流れているといわれている。

この莫大な金額に支えられ、今日もイスラエルとパレスチナでは戦争によって人々が殺されている。

このような天然ダイヤモンドが抱える問題は決して過去の話ではなく、今現在も煌びやかなダイヤモンド産業の裏側で起きている問題だ。


6. 資本と格差が作るゴールドの「幻想の価値」


ゴールドもまた、価値の裏には構造がある。

現在金価格は高騰し続けている。

ヒップホップ文化が形作られ、浸透していった1990年代から2000年代の金価格は1000-3000円台だった。しかし、2025年現在では2万円を突破した。

だがその上昇の理由はジュエリーなどの「実需」にあるのではなく、世界情勢の不安による「富裕層の資産防衛」と大資本の投資といった「マネーゲーム」にある。

現代では金はもはや資産や成り上がりの象徴ではなく、格差や支配の象徴へと変わりつつある。

7. ゴールドに隠された闇

ゴールドの高騰によって金資源をめぐる奪い合いや貧困、紛争問題に拍車がかかってきている。

スーダンでは現在進行形で、金を巡って民間人が殺され続けている。

スーダンでは金鉱を巡り内戦が激化し、民間人への虐殺や集団レイプが横行しており、国際社会から「人道に対する罪」として非難を受けている。

金鉱を支配した勢力は、採掘と密輸で得た莫大な利益を武器購入や兵の維持に充て、戦争を長期化させている。反政府軍は金鉱山や密輸ルートを握り、国外で売却した金で戦闘を継続し、政府側も同様に金を戦費に使っている。

こうして「金が戦争を養う」構造が生まれ、金の高騰がさらなる暴力を生み出す。

またガーナでは今、金の採掘が地域社会を崩壊させている。

近年、金価格の高騰によって、外国資本が重機を導入して採掘を拡大し、農地の破壊や水銀による汚染が深刻化しているのだ。金の国際価格が高騰したことで、農業よりも採掘に流れる人々が急増し、子どもまでもが危険な作業に従事し、教育を受けられない子供も増えている。特にカカオ生産地では、農地がブルドーザーで掘り返され、生計を失った農民がさらなる貧困に陥っている。

金を得るための行為が、子どもたちの未来と大地を同時に奪っているのだ。

金価格高騰の裏側で「金」という一つの資源が、世界のどこかで命や教育を奪い、どこかで富を生んでいる。


8. 天然ダイヤとゴールドを否定しない

とはいえ、天然ダイヤやゴールドを選ぶこと自体を否定するつもりはない。

ダイヤモンドには、地球が数十億年かけて作り出した奇跡というロマンがある。

ゴールドは酸化せず、数百年経っても輝きを失わない“永続する物質”としての魅力を持つ。

「憧れてきた過去の人と同じものを身につけたい」
「資産ではなく、素材そのものの美に惹かれる」


この想いは尊重されるべきだ。 批判すべきは、“選ぶ人”ではなく、“その背景にある構造と無知”である。


9.現代が提示した情報と選択肢

過去には、ゴールドや天然ダイヤモンドが抱える闇は、ほとんど知られていなかった。
誰もがただ「高級」「永遠」「純粋」というイメージだけを信じ、その裏で流された血の存在に気づかないまま、輝きを追っていた。

だが、今は違う。

情報社会の発展によって、 “地球の裏側で何が起きているのか”をリアルタイムで知ることができる。 SNSでも、現地の報道でも、YouTubeのドキュメンタリーでも、今何が世界で起きているのか知ることができる。

さらにその時代には存在しなかったモアサナイトやラボグロウンジェムといった宝石を選ぶことができるようになった。

俺たちは、もう「知らなかった」では済まされない時代に生きている。

ヒップホップは、本来「弱者からの成り上がり」の文化だ。だがもし、自分の輝きを得るために、その裏で他の弱者を踏みつける構造に加担しているなら

それはヒップホップの原点、「反抗と自立」の精神に背を向けることになるのではないか?

refindは社会に問いたい。

“自分が批判してきた構造の一部になっていないか?”と。

そして、時代は常に価値観を塗り替えてきた。かつてはルビーやサファイアの方がダイヤモンドより高価だった時代もあり、ダイヤモンドの“権威”が確立したのは1940年代デ・ビアスの広告戦略によって、「愛の象徴」として売り出されたわずか数十年前のことにすぎない。

つまり、「本物」「伝統」「価値」などという概念は、時代がつくるものだ。

そして今、科学技術と情報が発達した現代では、その価値観を再びアップデートできる時代に突入している。

モアサナイトやラボグロウンダイヤモンドを初めとするラボグロウンジェムは科学の力で生まれた、環境にも倫理にも優れた美しく新しい宝石だ

それらは、過去の価値観を否定するための存在ではなく、「次の時代の美の在り方」を提示する存在だとrefindは信じている。

俺たちは今、選ぶ自由を持っている。
そしてその選択こそが、 次の時代のカルチャーとラグジュアリーを形づくる行為だと定義している。

refindのジュエリーを身につけて次の時代のカルチャーとラグジュアリーを形づくる一員にならないか?

10. 終わりに

refindという名前には、 過去の価値や象徴を否定するのではなく、現代の情報と技術を踏まえて、ヒップホップジュエリーを“再定義する”という意味が込められている。

refindは、過去の価値観を見直し、俺たちなりのスタイルで「輝き」を再定義するブランドだ。

refindのオーナー・龍は、実際に中国の工場へ足を運び、職人と直接交渉し、品質を自分の目で確かめている。

思想と行動を一致させるそれがヒップホップの原点でありリアルだ。

語るだけではなく、動く。

画面越しに主張するだけでなく、現地に立ち、リアルを掴み取る。その“行動”こそが本物の信頼を生むと、俺たちは信じている。

地元の仲間たちと地元に会社を構え、顔を出して自分の言葉で語り、賛同も批判もすべて受け止める。それがrefindに共感する人々への誠意であり、リアルだ。

これまでのジュエリーブランドの多くは、「価格」や「見た目」だけを競い合い、顔も出さず、どこの誰が売っているのかすら分からないまま売られてきたことがほとんどだった。

消費者はただ“輝きの表面”だけを見せられ、その裏にある構造や真実に触れることはなかった。

refind は、その時代を終わらせる。

龍は口だけのマーケターではない。自ら現場に赴き、職人の手仕事を見て、語り合い、交渉する。世界のリアルをこの目で見て、そこから導き出した
“新しい価値観”をジュエリーを通して形にする。

それが、refindのリアルであり、ヒップホップのリアルだ。

金や天然ダイヤモンドの歴史を知り、その裏側にある搾取と暴力、そして歪んだ価値の構造を知った上で、自分の信じる美を選ぶ。

refindは現代社会にモアサナイトを初めとしたラボグロウンジェムを使い、ヒップホップジュエリーの “美しさと倫理の共存” を提案する。

ジュエリーはもはや、地位や権威だけを示す象徴ではない。

それは 自分の生き方、思想の象徴である。

refindは、ただジュエリーを売っているわけではない。

ジュエリーを通してrefindは思想を、文化の継承を、時代への応答を表現している。

「知り、理解し、自らの価値観と意識で選ぶ」

その姿勢こそがヒップホップであり、現代に求められる生き方そのものだとrefindは考える。

『価値を他人に決めさせるな。自分の美意識に責任を持て。』

それが、refindが再定義したヒップホップジュエリーの哲学である。